The soft feather story Ⅱ
優羽

 ? Angel's story

 あるとき、黒い羽の天使がいた。
生まれたときから黒く、ペンキを塗ったり、脱色したり、
いろいろなことを試したが、努力もむなしく白くなることはなかった。
それでも両親はすごく愛し、可愛がった。
そのおかげで、天使はそれを感謝できるほど素直に育った。
 しかし友達ができることはなかった。
「仲間ハズレ」や「悪魔」と言われたが、
その天使はこの羽の何がいけないのかわからなかった。
 ある日一人の天使が、
「一番高い木の一番高い所にある林檎をとってきたら、仲間にしてやるよ。」
と、言った。
黒い羽の天使はからかわれているのだとわかっていたが、
それでも信じたかった。
他人に愛されたかったのだ。
言われたとおり、林檎を取りにいった。
木を見つけ、林檎を手にしたまでは良かった。
戻ろうとすると枝に引っかかって動けなくなってしまった。
みんなが集まってきた。指をさして笑われた。
助けてくれるモノは誰もいなかった。
それでもその天使は泣かなかった。
そのとき、大きな風がふいた。
背中に激痛がはしった。
枝から体が離れ、飛ぼうとしたがそのまま落ちた。
片手に林檎はしっかり握っていた。
仲間にしてくれるといった天使が近づいてきた。
手を差し伸べられた。
ついに目から雫が零れ落ちた。
しかし黒い羽の天使が手をとろうとした瞬間、
その天使は林檎を奪い取った。
そして、「仲間になんかしてやらねーよ。」と一言いい、
笑いながら黒い羽の天使を地球へ突き落とした。
そこには涙の雫と黒い片羽だけが残っていた。


散文(批評随筆小説等) The soft feather story Ⅱ Copyright 優羽 2007-04-19 19:43:33
notebook Home