もう昔の話
柴田柴助

2丁目の私

2丁目の私はその時恋をしていた

2丁目の私が恋していた彼は
その時3丁目に住んでいた

比べて3つ秀でていたことがあった

その3つとは
年齢と、お酒の強さと、音楽の知識

2丁目の私は
3丁目の彼よりも
3つも秀でていた

そのわりに
3丁目の彼は
2丁目の私より
態度が人3倍でかかった
そして甘え上手だった

だから2丁目の私は
3丁目の彼に、恋をしたのだと思う
2丁目の私は単純だった

もう昔の話

私は今、2丁目には住んでいない。
住所が3桁減ったところに住んでいる。

もう昔の話

私は今、2丁目には住んでいない。
他の誰かが2丁目に住んでいるのだと思う。

2丁目の私

2丁目の私は
当時3丁目の彼に恋をしていた

なぜか
3丁目の彼の住所を空で言えるのは

まだ3丁目の彼からの傷が、癒えないからだと思う

私心の的を射った、もう行ってしまった昔の話

当時2丁目に住んでいた私は
3丁目のに住んでいた昔の話に

まだ、恋をしていた


自由詩 もう昔の話 Copyright 柴田柴助 2007-04-18 14:04:22
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