例えば。
それが三人称で、
神の視点で書かれているとすれば。
神の背格好や学歴、
食べ物の好き嫌いから、
性的嗜好に、
初体験の年齢と相手とその満足度まで。
考え抜き、
想像して創造してから書かねばならない。

例えば。
あれが詩だとしたら、
あれはとてもひどい詩で、
あなたはよりひどい詩人です。
あなたの創り出した神は誰ですか？。
何もかもが見えていて何も見えていない、
まるであなたそのもののようなあの神は誰ですか？。
あなたが神として、
あの詩で示した慈悲は、
あなたの人間性を売りつけるのには、
功を奏しました。
ですが、
詩を奏でてくれませんでした。
あれを書いたのがあなただというのなら、
あなたはひどい詩を書く詩人気取りのただの優しい人です。
これは正直な感想です。
だからこれは、
あなたにも、
誰にも言えない。

例えば。
わたしがあなたで、
今この文章を読んだとすれば、
自分のことを書かれたのかと思い、
激怒するのかもしれない。
でも安心して、
そんなことは起こらないから。
けれどもし、
どこかの神の手違いで、
あなたがわたしでわたしがあなたで、
あなたがわたしに怒っていても、
あなたになったわたしはきっと怒らない。
だから安心して、
わたしの拳であなたになったわたしを殴ってください。

例えば。
あなたが今これを書いているとして、
あなたはこれから何を書くのだろうか？。
もしあなたの身長がわたしよりも低いのなら、
そこからは何が見えて誰が見えないのだろうか？。
わたしの嫌いな食べ物たちをあなたはどう味わうのだろうか？。
もしあなたが女性なら、
あなたになったわたしは女性。
男性のわたしになったあなたと、
女性のあなたになったわたしがセックスをすれば、
それはどんなセックスになるのだろうか？。
満足だろうか？。
あなたとわたしはお互いの感じるところを知り尽くしている。
だとしても、
それはセックスではなく、
マスターベーションの結合ではないか？。
あなたはマスターベーションだけで満足できるだろうか？。
わたしはできない。
わたしが欲しいのはあなたとのセックスで、
あなたのマスターベーションではない。
わたしはきっと、
わたしに満足できない。












　　　　　　　　　　　了。