石原大介

まいりました。
おそれいりました。
とりあえず、あと三日
猶予をください。


仕事の話を切り上げるとどうしても
そのままワンルームには帰れなかったので
バスにごんごん揺られてまいった不忍池、
腐った水のふち、呆けたように座り込み、タバコをふかす。

白鳥の足こぎ式ボートがひしめく水面はぎらぎらしてて
それはもう火の玉みたいで
ぎらぎらぎらーって駄洒落じゃん
ってヤラリターって感じがなおもクリティカル、で
目を塞く。


加速度的に老いてゆく両親への
精神的負債。
もちろん素直に
いたわり、と、感謝のこころ。
不安、鬱から来る
漠とした不安。
生得的自信のなさ。
未来への強い欲求。
激しいあこがれ。


もわーん

っとした拍手と歓声。
ピーナツバターのような
粒立ちのわるい葉風が渦を巻く。
なにやら本日はメイデイ、とかで
野外コンサート決起反対大集会とかでとにかくここ上野は
すごい活況なのである。
よおーしおいらもいっちょやったるかあ、てな感じで
さっきから押し合い圧し合いの
火の玉の水面に挑みかかるのごとき気迫で俺
目をあけて、叫ぶ叫び。


おらー。

そこのパンクス中学生のアベック煽りまくっておでかけですかって池んなか!
そこのじいさんそんなカーキ色の無地のキャップどこで売ってんだいまんどき!
そこの孫は孫でキャラクターではないマンガのくまさんプリントなんなんだ一体!
あははははは涙もろいなあ!不忍池はぎらぎらとていたいなあ!やあやあまって
ましたぁ渡りに船っ細川たかしやっぱ最高!ってだれもつれちゃあいないけどつ
れてにげてよ後ろがみ!おい俺は気が済んだのか?やいそこのアフガンハウン
ド答えろそこのアフガンハウンドおおおおっ!!




ていたい。





未詩・独白Copyright 石原大介 2004-04-30 00:37:28
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