校庭
石原大介

校庭の使い方を忘れてしまった
忙しさにかまけ
タバコをふかし
子供たちの嬌声に耳を傾け
止むことを知らない霧雨のなか
彼女の寝顔
彼女のやさしさ
彼女のフルネーム
それがなんだか忘れてしまった
俺は阿呆か
これは詩か
雪が降ればいい
校庭の松の木のしたで
思い出を思い出そうと
ゼロからじっくりやり直そうと
ガラクタをひっかき集め
ぬかるみのふきだまりのうえ
家を一軒建ててみたが
廊下を入れるのを忘れてしまった
それがなんだ
まぼろしか
ラーメン食べたい
粒粒のニコニコする
塩塩の味噌味噌する
麺と麺のクロスする
古い洋画の
テーマソングみたいに
連綿と手を変え品を変え文脈を変えながら
止むことを知らない霧雨のなか
俺がなにを
言いたくないのか
校庭の松の木のしたで
それがなんなら
なんなのら



未詩・独白 校庭 Copyright 石原大介 2004-04-29 17:57:59
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