起床、息、刃、二度寝
なかがわひろか

今朝は少し寒くて
息をはぁってやったら
一瞬で凍り付いて
まるで刃みたいになって
そこら中に飛んで行って
隣のおばあちゃんがまだ眠ってるって言うのに
勝手に窓を突き破って
おばあちゃんのほっぺたを突き破って
びっくりしたおばあちゃんは何が起きたか
よく分かっていなかったから
僕は大したことじゃないよって言って
そしたら反対側に飛んでいった刃が
今度は野良猫のお尻に突き刺さって
猫はぎゃあぎゃあ叫びだしたから
朝からそれはとてもうるさいから
とりあえず首をちょん切って
塀の上に置いておいたんだ
さすがにもう大丈夫だと思ってたら
まだ一本残っていたみたいで
そいつは用水路の中に入り込んで
分裂してたくさんの刃になって
それを飲んだ子どもの喉にたっぷり刺さってさ
その叫び声がそこら中から聞こえて
もう勘弁してくれよってうんざりして
結局僕は二度寝したのさ

(「起床、息、刃、二度寝」)


自由詩 起床、息、刃、二度寝 Copyright なかがわひろか 2007-04-17 01:02:00
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