雲に乗る
松本 卓也

川の流れに乗っかって
どこか遠くに行きたいな

思った以上に世界を知りすぎた
こんなにも分らない方が
幸せだったなんて思わなかった

耳を澄ましていなくったって
誹謗や糾弾に晒されるしかなくて
平凡に生きようと願っていたとしても
何かが違うという結論だけが残る

結局思い描いた肖像画と
昨日自分を写した表情は
あまりに違っている事実

風の流れに乗っかって
向こうの空を飛びたいな

痛いのは首筋だけじゃなく
肝臓膵臓肺臓心臓と喉に腰も爪先も
現実が突きつける意味を教えるだけ

一点さえも一所にさえも
安寧を求める事が許されない
そんな錯覚を覚えて苦笑するも
程遠い現実に浮かべた失望

涙と溜息
空元気

どうかどうか
笑わせてくれまいか
泣かせてはくれまいか

寂しさも苦痛も抱き寄せてくれる
温かいぬくもりが欲しいだけなのに

叫びも呻きも慟哭も
全てを聞き遂げてくれる
大きな耳があったのならば

何の迷いも無くむしゃぶりつくだろう
気兼ねする事無く託すだろう

雲の端っこに乗っかれば
僕を誰も知らない土地へ
連れて行ってくれるかな


自由詩 雲に乗る Copyright 松本 卓也 2007-04-12 23:16:16
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