とんがり帽子の世界
霜天

とんがり帽子を私はかぶって
今日も街に乗り込んでいく
とがった先端は威嚇のためで守るためで
つんと伸びたその向こうでは
空が青に光っている


どうにも街は壁だらけで
いろんなとこにぶつかってしまうから
とんがり帽子をあちこちへ振り向けて
ぶつからないようにぶつけないように
必要以上に確認してしまう


そこでもここでもきょろきょろと
目深にかぶった帽子の下で
とんがりとがった帽子の行方
確認しながら確認されて
走るなんてもってのほかで


人ごみ草むら駆け抜けた
転んで泣いても笑ってた
裸の髪がちりちり焼けた
子供の目線はどこ行った
忘れたわけじゃないけれど


とんがり帽子で区切られた世界
あちらこちらでとんがって
つんと伸びたその先端
太陽にちりちりと焼かれるけど
その感覚は届かない


今日もとんがってる街で
とんがり帽子に身を潜め


自由詩 とんがり帽子の世界 Copyright 霜天 2004-04-28 23:08:26
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