士狼(銀)

わたしはうさぎになって
寂しさを抱いて、眠った
よく晴れた朝を迎えて
腫れぼったい瞼に苦笑いを零す
鏡に映る姿は
うさぎというより
醜い何かで
涙が眼球を傷つけていく
ことん、と音がして
ベランダに出ると
片足のないまだらの鳩が
桜の花弁を纏ってやってきて
春の風をくれた
まだ少し肌寒いけれど
それは仄かに新しい香りがした




自由詩Copyright 士狼(銀) 2007-04-08 11:45:01
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獣化