青年
みつべえ

蕩児はついに帰らない
粗暴な海にうまれた いきものの
鰭のひらめきのような
ひとときを
ただ過ぎてゆくためにだけ
夏はあったと
ひとしれずつぶやく
ここちよい自虐に
おしみなく反吐を!

かがやく波頭をこえ
ころがりはじめた
「肉体はかなしい」
かなしいから
生傷をかきひろげ
ふとい舌を かみちぎって 
ほとばしる血潮のなか
無心に笑ってみせる
鬼の作法を身につけた


自由詩 青年 Copyright みつべえ 2004-04-28 05:24:25
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