母には出せぬ母への手紙
さくらほ

ねえ 私
2歳半でお姉さんになったんだ
何も出来ないくせにおかしいね
私なんにも変わってないのにね
飢えて乾いた私
トゲトゲ虫
痛いんじゃない
ただただ悲しかった
泣いたなら
倍殴られるその法律
あなたにかよわき羊を守ってほしかった
涙は枯れ果てたんじゃない
泣かない術は 生きるため
「子供の頃に帰りたい」
皆のように明るく言えぬ自分が少し寂しい

傷つけて
傷つけられて
傷つけて
心は曲がりくねって
自分すらも見失った
思春期の迷路
期待に応えたくて
母の望むようになりたくても
どうしてもなれぬから
自分を嫌うしかなかった
感情を殺しきれず
自分を殺しきれず
ただ生き続けていた日々
抱きしめてほしい
子供のまま大人になった
それでも母がいたから生きてこられた
奥底で知っているから
今でも求めている


私自身が母になり
母というものを知った
母を許す
いや違う
母を少し理解できた気がした
母を片目でしか
見ていなかった私
満ち足りるほどは無かったけれど
確かに愛はあった



わたしより仕事を取ったその母が
仕事より体大切しろと言う
いつのまにか
孫よりも足遅くなりて 
トコトコ歩く母が私の心配をする

ありがとう
その字のごとく
有り難く
それ以上の言葉
思い浮かばない


自由詩 母には出せぬ母への手紙 Copyright さくらほ 2007-04-02 21:21:02
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