夜のかたちのピッテロビアンコ
たりぽん(大理 奔)

夜の街で闇をさがし
身を隠す暗がりにも
灯りを求めたりして
中途半端なままだね
いつもぼくらは

   言葉の空白にふるえて
   粋な単語たちをあつめ
   草の実に糸を通すようにつないで
   数珠のようだ、なんて笑っても
   夕暮れには、ちぎれてばらばらで
   わっかはいつまでも完成しない

意味だけを求めて
つないでいくことを
知らないままに暗がりに
逃げ込もうとしても
綺麗ないい訳に包んで
仄かな灯りの闇では
消えることもできない

   真昼の日差しに闇を知る
   暗がりを求めたのはこの身
   薄皮でひとのかたちをした
   葡萄のような、世界
   闇が無くても光はあるのに
   明るい真昼だけが
   この暗闇を生むのか

ただ君と居たいという
湿っぽい絨毯のような
それだけが真実で
宙ぶらりんな葡萄が
枝から落ちぬようにつく嘘

誰も傷つけぬように傷ついた
しみ出す甘い汁を舐める
夜の街に逃げ込んで
あなたをしぼって飲み干すから
小さなわっかをかけて

中途半端なままいつまでも
ぼくらは




自由詩 夜のかたちのピッテロビアンコ Copyright たりぽん(大理 奔) 2007-04-01 01:34:00
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