えがき さけび
木立 悟




水に還り 消えてゆく
弧に描かれた羽があり
軌跡のようなはばたきが
空にも地にも重なってゆく


三つの腕を昇る霧
つぼみの上のしずくのつぼみ
音をあおぐ 青をあおぐ
微笑みを聴く


離れた冬に咲くひとり
声から声に灯る声
手のひらのかたちの湿り気が
曇を静かに持ち上げてゆく


影のなかで
影と水はじっとしている
自身よりも濃いものを見つめながら
互いの指を確かめあう


青と蒼と碧は語り尽くせず
飛沫のなかを廻りつづける
はじかれてはいない どの色も
はじかれてはいない どの空にも


絵を描くように命じたものが
絵を焼くように命じたあとも
絵を描くものは描きつづけて
いろどりは叫びつづけている















自由詩 えがき さけび Copyright 木立 悟 2007-03-30 20:49:45
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