救い
暗闇れもん

ある晴れた空の下

母の声を思い出した


「見守っているから」


衝動的に起こしたことだった


僕は、人を殺した


雨の日とか
曇りの日とか
そんな日にすればよかったなと

今更ながらに思ったりした

もっと考えることあるだろうと

自分を叱り付けてみたり

この事実を夢だと

血に塗れた手で叫んだりして

途方も無い今後に

頭を悩ませたりした



手は血で汚れた

既に体は汚されていた

義理の父には特異な趣味

いくら待っても

救いは来なかった

穢れた自分

救いは来なかった

全部が汚いのに

僕は天国を望んでいる

飛べる羽さえないのに

穢れた血を吐き続けて

虫けらみたいに

地面を這い蹲っても

真っ黒に染まった

ドロドロの自分を見下ろしていても

まだ天国を望んでいた


きっと優しい母がいるから・・・


救いは無い


僕は今日人を殺した


自分を殺した





自由詩 救い Copyright 暗闇れもん 2003-08-14 01:29:48
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