独白
たもつ

階段を上っていく
ホールには明り取りの窓から差し込む光が溢れ
かつてそれは観葉植物の大きな葉を照らしたこともあった
河口の近くで手をつなぎバスを待っていたとき
足元には確かに雨ざらしになった動物の形の玩具があったはずだが
届かないものを私たちは祈りと呼んだ
ドアを開け屋上に出ると
着古した寝巻きがもう一度きれいに洗濯され
空に向かって羽ばたく訓練をしている
そのように今年もまた春がやってきて
あなたの好きな種類の花がたくさん咲いた
と、独白はそこで終わり
男はひとりベッドに腰掛け外を見ている


自由詩 独白 Copyright たもつ 2007-03-28 16:31:36縦
notebook Home