リアリィ
山中 烏流

あの日
彼は消えていった
 
一億人以上の
小宇宙から
 
確かに
ひっそりと
消えていった
 
 
私は
傍らで
それを
眺め
 
 
その日
空は鈍く澄んで
 
厚かましいほどの
優しい夢の中に
 
微かに
しっかりと
溶けていった
 
 
私は
それを
眺める
だけで
 
 
あの日
確かに
彼は
消えていった
 
あの日
確かに
私は
そこに居た
 
 
 
それ
だけが。


自由詩 リアリィ Copyright 山中 烏流 2007-03-27 22:08:24
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