蒸発
茉莉香

 ひりひりとした皮膚の隙間から
 言葉や感情が飛び出していく
 熱を帯びた体はなすすべもなく
 意識の遠のきかけた瞬間にまた
 大事にしていた言葉一欠 飛んでいった
 
 空に溶けていった私の感情どうなるの
 散らばった無数の言葉星となり
 永遠に輝いているのならば
 蒸発もやむをえないのかしら

 ほんの一握りの砂のような
 希望を見出していた矢先
 現実を見てしまった私は
 またしゅわっという音と共に
 蒸発していく感情を
 無表情のままみつめる

 嘆く気持ちにもなれない
 ただ 楽になればいいと思いながら


自由詩 蒸発 Copyright 茉莉香 2007-03-27 17:11:43
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