銀指響
木立 悟




鏡がふいに斜めを向き
部屋のすみが溶けて明るい
鏡のなかには無色の柱
扉の前には銀の曇


銀はひとり歩き出し
窓を向いては立ちどまる
たたんたたん たたんたたん
素足の時をうたい出す


雷鳴のかたわら
鉄の輪がすぎ
月はふたつ
月をあやす


窓のかたち
とめどない蒼
鏡の上の
小さな空


かけら かけら
治らない星
指をめぐる
砂鉄のひかり


足音は沈み 土を照らす
手を振りつづける
やわらかな群れ
夜をまだらにふるわせてゆく
















自由詩 銀指響 Copyright 木立 悟 2007-03-26 01:03:06
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