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ひろっち

ここには居場所がないけれど、
実はどこへ行っても居場所はなくて、
探して見つけられるようなものならいいけれど、
そんなんじゃなくって、

田舎の土の匂いがしない砂利道で、
掘っても掘っても砂利と砂の入り混じった、埋立地のような土台に足を点いて、
浮き足立った嫁のスニーカーは、
帰る場所を闇雲に探し続けている。



喧嘩すればいつも飛び出して、
いつも不貞腐ふてくされて帰ってくる。

東市来ひがしいちきの山なみはここにはなくて、
ドコモの携帯が繋がらないこともなければ、
カエルの騒音で眠れなくなることも先ず以ってない。

ここには居場所がないから。
いつもそうやって飛び出して、実家に帰る素振りを見せて、中途半端に姉ちゃんのところに滑り込んで、
結局、俺が謝らんと収拾つかん次第。



眠れないのは昔から。
けれど昔はよく寝てた。 眠れないのは、土の匂いがしないからで、

夕日が沈む。
退屈な速度でゆっくりと沈んで行く。

土の匂いがしたところで、
そこが居場所になるわけじゃないし、
結局、何やかんや愚痴ぐち垂れたところで、
どうにかなるわけでもあるまいし、
そんな走馬灯そうまとうを描けるこの対峙たいじこそが朱美のホーム。


君の居場所。


自由詩 ホーム Copyright ひろっち 2007-03-25 01:30:21
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