魔法使いになりたかった
リヅ

テレビ画面の中で生きる
僕の職業は魔法使いだった
今年でLvは17
HPもMPも少なくて
弱いからすぐに死ぬ
復活する為に教会を探すけど
何処にあるのかわからない

リセットボタン

ちゃちな魔法を使った
ちゃちな敵を殺した
経験値が入った
だけどこれはなんの経験なんだ



誰もみんな特別なんかじゃないって僕ははじめから知っていた
それでも僕は魔法使いになりたかった



テレビ画面の外で詩人の知り合いが言うんだ

 俺は魔法を知ってるね
 特別な言葉さ

それじゃあその言葉を使う人は魔法使いなのかな?

 いや、ただの人間だったよ
 素晴らしい人だった



誰もみんな特別なんかじゃないって僕ははじめから知っていた
それでも僕は特別じゃない僕たちを特別にする魔法が欲しかった



コマンド選択
逃げる
…逃げられない!!






あぁ またゲームオーバーだ
そろそろテレビ画面の外へ出る時間だよ
来年でLvは18
状態は瀕死のまま
君の言う魔法に触れてみた
それは水色で少し暖かくて
神様が宿っていた
泣きたくなるような
微笑みたくなるような
とても、美しかった


自由詩 魔法使いになりたかった Copyright リヅ 2007-03-23 21:53:02
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