シクロ
ae96

 

「シクロ」    
  

 熱気がたわむれる不良の街角で

 繰り広げられる止まらないルーレット

 生活をBETして 
 夢に変えるギャンブラー

 マドラーがまどろむ
 カウンターのタンブラー

 ネオンすり抜け俺まで届く猛毒

 カクテルが隠してる欲望の紐を解く
 
 混じりあう喧騒に非道く響く孤独

 鋭利な沈黙が静かに闇を研ぐ


 

 光が強ければ強いほど影は増す

 裏表のないポジティブと
 ネガティブが入れ替わる

  朝まで煌々と眠らない明かり

  濃厚で軽薄な欲情にまたがり

  何かを期待してうろつく奴ばかり
     
  うつろいの路地裏で俺は独りよがり

  イージーな罠に嵌まり 
  一巻の終わり

  快楽にすがりつき 
  気付いたら 傷は深い


  


  網膜に焼きついた
  いい女はノーマーク

  興奮が動脈を伝い脳に到着

  想像の楽園で暴走する妄想

  やたらアナーキーな頭のなか

  理性と法律で抑えつける悪魔

  悪の利便性の誘惑にリベンジ

  欲と希望と祈りの三角関係

  排泄と猥褻を繰り返す街で


  

  グリーンのグラスを
  一息に飲み干し

  グラスの向こうに輝く星々

  からだをめぐりだす有効成分

  カードをめくる手には
  ラッキーセブン

  氾濫する本能 騙せない自分

  男と女が迷いこむダンジョン

  己の魅力だけで勝負する娼婦

  ひまそうにたむろする
  オンボロのシクロ



  
  極上の快感と残された時間

  酸化する命 クスリのリスク

  公然と行き交うギブアンドテイク

  そうすることで愛は薄れていく

  ファイナルラップ 
  最終のコーナーリング

  脳裏に過ぎるのは
  チェッカーフラッグ

  歪んだ景色に意識がふらつく

  浮かんだ言葉 

  友からのGood luck



  


  ガセで荒稼ぎ 所詮 未来の化石

  外貨で開花する街は多国籍

  先人の足跡でまみれた定石

  利益への執着が堆積した瓦礫

  そのうえで俺達はとっくに辟易

  鳴り止まぬ警笛 結果は明晰

  惑星の剥製 最悪の終着駅

  イカれたレイル 今なら断ち切れる


  


  戸惑いながら窓を開け放つ

  運命の偶然性を感じる季節

  心のどこかで 信じる真実

  俺を包み込む無音の旋律

  たましいと肉体と空間が交わる

  カジュアルではない 

  今 ここにあるリアル

  砕け散りゆく時間の先端の果てで

  一瞬の永さは この俺がキメる


  

  時代は変わる 新しいかたち

  常に俺たちは生き方を探し

  やけっぱちのがけっぷちで

  仮面を剥ぎとる

  限界を振り切っても

  戻さないスロットル

  スタートは原点 

  目指すゴールは頂点

  必要不可欠は飽くなき挑戦 

  明日なき覚悟でおのれと向き合い

  くだらない世界が嫌なら 

  
  まず俺から変わろう



  

  割れたガラスに映る

  声を枯らすまで啼くカラス

  俺達は陽が暮れるまでに夢を探す

  心のなかに羅針盤とマシンガン

  塵から文明へと辿り着く運命

  まわるこの星を素早くスクラッチ

  ブランニュウ放ったらかせば
  やがてスクラップ

  俺はここに佇む 
  それでもつづくリズム

  やがて夕陽は

  ゆっくりとしずかに沈む



  

  蝕むように地球に巣食う人類 

  滅亡の宣告さえ最早手緩い

  9回の裏 迎えたピンチは無死満塁

  カルマを忘れ歯車は狂い

  メシアが現れ救うという終末

  憐れな俺達は祈りだす始末

  明日を創るのは神々じゃない

  今この瞬間の俺達の行動  

  だろ?


  快適で満腹な部屋で世界を憂う

  金と女はいくらあっても足りやしない


自由詩 シクロ Copyright ae96 2007-03-23 00:45:28
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