92、いつかどこかで
雨宮 之人

覚えているか、あれは
そう四月のことだ
この街へ来た、電車で来た
覚えているか、それは

都市を走りぬけ
トンネルを抜け、春の中で
ありがちなおぼろげな夢の中で
あぁ、覚えていないことのほうが、もうよっぽど多い

覚えているか、俺は
あぁ覚えている、から
夢の中で、虹の足下へたどり着いたそら

DNAと、魂の記憶によると
既視感にまみれて俺たちは消える
いつか見た空の下、虹のかかった、空の下で


自由詩 92、いつかどこかで Copyright 雨宮 之人 2007-03-20 04:12:54
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