追伸
ささやま ひろ

大講義室で机に突っ伏し熟睡
ようやく目覚めてもまだ教授は話をしている
大学の講義はやたらと長い

君はすこし呆れ顔で
顔に寝あとついてるわよって
解読不能な文字が並ぶ僕のノートに走り書き

一般教養を学ぶ時間に
昨日の寝不足を取り戻している
バイトだって現実社会の実習みたいなもんだ


学生生活という
社会へのモラトリアムの中で
僕らはどれだけの時間を共に過ごしただろう

高校時代のこと
親のこと
兄妹のこと
季節のこと
バイトのこと
卒論のこと
将来のこと

たくさん話をしたね

男女の間でも
親友は成立するって
君はまじめに言ってたっけ
僕にはさっぱり分からなかったけど


いくつもの季節を越えて
16年という月日は僕たちをどう変えた?


あのとき僕が
君が言うところの
親友 を選んだのなら
今でも語り合っていたただろうか

卒業の季節になると
今でも君を思い出す

あの時僕が選んだ選択に後悔は無いけど
今ではわずかながら
君が言っていた親友も
まんざら悪くないと思うんだ

君の屈託の無い笑顔は
共に過ごした
春と
夏と
秋と
冬と
そして講義の数だけ

今も色褪せずに残ってる


じゃあねって
キャンパスで別れた春
だいぶ遅くなったけど

君への追伸







自由詩 追伸 Copyright ささやま ひろ 2007-03-19 01:12:22
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