春にゆれて
まどろむ海月






  ? コラージュ


通勤電車の空間の歪み

ポリバケツの中をワープしながら
流転する定めの憂鬱な朝


紺碧の地面に近づく
窓外の空気

遠くに小さく
斜めにさしこむ
白い雨の気分

蒼のカーテンは
返事をせず
透明にしゃがみ込んでいる

金色の光が
見えない程に遠のいて
人影は気がついている
何が起っているのか



流るる
流るる
流るる
焼きつく
はっきりわかる

光に包まれて
凡てを超える
しかし目の前に見える

狭くもなく
深くもなく
今この瞬間すら
揺れている




 ねえ
 春だよ
 春なんだよ
 見知らぬ駅で
 降りてもいいじゃないか
 ゆっくりゆっくり
 花の息を吸い込んでごらん
 そこに
 優しく撫でる水も
 まどろんでいるから





 子供が忘れた
 日向のあつさに
 雲を浮かべて
 はなしかける声は
 そよそよ吹いている





 星は

 まだ

 まだ見えない









   ? 春にゆれて





 冬姿の孤独がゆれている

 君は
 僕ではなかったか



パルメニデスの
スファイロスような
量子力学の宇宙
単独に存在している物事は
無い と

ひとつの悲しみが
彼方の星を雨で濡らし
ひとつのあふれる喜びが
彼方の星の草原の花々を咲かせる
そんな想像が
真実に思えて
 あの雲の動き



 空の青さに惹かれ
 とおい旅
 冬の日々の
 ぼくと雲

 いま
 きみを思いながら
 まどろむ春




 すべては
 新しくなった

  はずはなく
  それでも…





  この
  春の中を
  あゆむ人は
  老人も
  赤ん坊も
  微かに
  笑って
  いる

   (画像がありません)





自由詩 春にゆれて Copyright まどろむ海月 2007-03-16 21:50:09
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