くじらの足音
夕凪ここあ

ずっと
遠くに
行ってしまった
くじらの
足音

どこに
ずっと
北の方に

どうせなら
満天の夜が
いいね
少しずつ
舵をとりながら

長い旅だね
くじら
しっぽに
泡をぶら下げて
まぎらわす
さみしさ

また帰っておいでよ

ひとつ
海の名前が
変わるたび
波のさよなら

北の方角は
どうしようも
ないくらい
冷たく泡立つから
空を見なよ
くじら
そのときは

空を泳ぐ夢を
見ても
見れなくても
明日には
また帰るよ

穏やかな
海へ戻ったら
変わらずに
やさしいうたを
歌えるかな

そうだね
くじら
帰り道
口ずさんでみなよ
回遊する
かなしみを


なんて
静かな目


自由詩 くじらの足音 Copyright 夕凪ここあ 2007-03-15 22:51:26
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