「もくせい」
ソティロ

「もくせい」



やあ、ひさしぶり。

ひさしぶり、どうしたの?

ぼくに芯が出来たんだよ。

へぇ、それはよかったね。それについて何か話がしたいの?

うん。ぼくの芯は新しくて、扱い方がわからないんだ。それでぼくはたくさんひとを傷つけてしまう。たくさん。

ふうん。そうゆうものなんだ。

そう、それでぼく、慣れるまで木星に行ってようかと思うんだ。この芯を育てなきゃいけないし、コントロール出来るようにならないと。

ていうか、木星って住めるんだっけ?

それは行ってみないとわからないよ。

すごく遠いね。

うん、すごく遠い。だからいいんだ。きみには絵はがきを出すよ。木星の絵を描いて、それから写真も…

いや、いくら郵政省が民営化されたからって木星にポストはないと思うよ。

それはそうだね。じゃあ写メールを送るよ。きっと木星はきれいなんだ…

圏内かなあ。

大丈夫だよ、機種変したし、FOMAだし。ほら見て、アンテナだってすごい伸びるんだ。

そう、でもさみしくなるね。

うん、ぼくもだよ…。あっ、そろそろ行かなきゃ。ありがとうね……じゃあ、さよなら。



さよなら。


自由詩 「もくせい」 Copyright ソティロ 2007-03-15 19:57:32
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