結晶
たもつ

日が暮れて今日も塩屋に
ナメクジたちが集まる
口々に死にたい死にたいと言いながら
塩を求めにやってくるのだ
けれど感情が昂りすぎて
みな自分の流した涙で溶けてしまう
翌朝塩屋の前は
粘液や臓器の名残が朝日に当たって
きらきらと輝いている
店の主人はそれらを集めると
大釜で煮込む
やがていくつかの工程を経て
美しい塩の結晶が出来上がる
水分は空へと還り
雲となり雨となり命を育む
その中にはいずれ塩屋へと向かう
ナメクジもいることだろう



自由詩 結晶 Copyright たもつ 2007-03-15 13:35:42
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