colors
水町綜助

君を思う

とき

上と
下に

僕は
引かれて

風も冷たく高く高く上り
落下を予感する
ケラの様に深く僕を隠し
浮揚のしかたを知る

地平からすれば同じこと
君からすれば

白くちらされた道路のさなか
君を思う

とき





君を思う

とき

右と
左に

僕は
引かれて

倒されたバケツ
水浸しの廊下へ
嘘くさいほど青
色濡れた窓際へ

水色にしてみれば同じこと
君にしてみれば

暗灰色のビル打って
君を思う

とき





君を思う

とき

東に
西に

僕は引かれる

太陽を投擲し光を突き刺すか
太陽を捕らえ光に貫かれるか

恒星にしてみればいずれにしても黎明
君にしてみれば

失われた満ち潮の海岸
君を思う

とき





君を思う

とき

北と
南に

僕は引かれる

あついからだ寒くて
熱い炭酸水と
さむいからだ暑くて
冷たい太陽と

裸身にしてみれば同じこと
君をはだかにしてみれば

三月十二日未明
君を思う

とき





君を思う

とき

数え切れない色と色がぶちまけられ
独立して広がってそして
境界をなくして
入り乱れている
君は裂けている

君を思う
とき
僕は真中からふたつに割けそうになる

君を思う
僕は
もう
君にやわらかく
やわらかくなった僕は
割けることなく

うごかず

君の
前に
いる

君に
いる



















自由詩 colors Copyright 水町綜助 2007-03-15 10:53:47
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