子守唄
愛心

寂しくって

哀しくって

苦しくって

冷たくなってく感じがして

目の前がぼんやりしてきて

いきなり身体中があつくなって

口の中が乾いて

身体中を引き裂かれる妄想に堕ちてって

助けて

って言いたいのに息しか出なくって

あ〜死んじゃうかもって思ったとき

あったかくて

大きくて

優しい彼に 

赤ちゃんみたいに抱かれてた。

彼の作ってくれた氷枕に頭をうずめたまま

体温計を脇に挟んで

彼の怒った声と優しい声が混ざってる言葉を聴いてた。

「お前が俺んち来ねーから、心配で来てやったんだよ。熱何度あんの?」

体温計を見ると40℃と表示されてた。

「バカ。お前身体丈夫だとか言って、無理してっからだよ」

私は何も言わず、いや、何も言えずぽつりと言った。

「寝る。オヤスミ」

私が目を瞑ると、彼は小さなため息をついた。そして優しく言った。

「しゃーねぇ。俺が子守唄を歌ってやろう」

私は寝たふりをしたまま、ちょっと笑った。


眠れ。 

眠れ。

眠れ。 

幸せの夢見て。 

幸せを夢見て。 

何も考えなくて。

いいから。

光の中にいる。

天使の羽の中で。 

天使になれ。


私は子守唄を聞きながら

とろとろと眠りに落ちていった。




「おはよ」

起きると時計は夜中の5時をさしていた。

彼はうとうとしていたけど

私が起きたのを見ると

にっと笑って言った。

「お。起きたか。身体どーだ?」

「うん。結構楽だよ」

私たちはしばらく見つめあったまま黙ってた。

「あ、あのさ」

私が口火を切った。

「なに?」

「あの子守唄。何で私にしたの?あんま聞いたこと無かったんだけど」

「あれね。母親から教えてもらったの。なんか嫁に代々伝えられるんだって」

それって・・・

「結婚しよ」

私は何も言わずただうなずいた。

「よっしゃ」

彼は身を乗り出すと

熱の残った私の唇に

キスをした。




 



自由詩 子守唄 Copyright 愛心 2007-03-14 20:15:56
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