隠れ家 (Ajito)
Lucy.M.千鶴

大人達に

後ろめたい気持ちが
あったのは 何故だろう

ちいさな わたしたちには
しゃがみ込めば
保育園脇の
沈丁花の繁みさえ
ひみつを 持ちあう
格好の 場所だった


毎日、

何を 話していたのか

毎日、

何を ひっそりと 見せ合っていたのか


あのころ 軽蔑していたのと同じ
大人に 成ってしまった わたしには
もう、
思い出せはしない

だだ

桃色の薄いスカーフで結んだ 時は

季節が巡り
あの花の薫りに
出逢うと

ふっと

ふたりの 隠れ家を
今も、少し 俯きかげんに

想い出させる ─── 


自由詩 隠れ家 (Ajito) Copyright Lucy.M.千鶴 2007-03-13 16:18:28
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