寄り添う夜
かのこ

首筋から
次々と抜け出していく
幾筋もの熱の糸たち
あなたを前にほどけて泣いてしまう

朝が来たり夜が来たりするたびに
揺れているのだきっと
いつだって泣く準備はできていたのだ
だから今こうして一人分の身体で安らかに眠る

記憶

寄り添う夜はいつもそれが最期のような気がしたり
延々と続く繰り返しのうちのほんの一切れような気もしたりする

その熱い肩や喉元に触れながら
頭の中の細胞は死んでいく
綺麗な顔で笑いながら
身体の中はからっぽになっていく

涙は
熱を孕んだしずく

シーツの中を必死に泳いでいる
無機質な声ばかりが
連続して聞こえる


虚ろな
淋しげ

揺れる

揺れる


自由詩 寄り添う夜 Copyright かのこ 2007-03-11 01:55:03
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