89、泡 【あわ】
雨宮 之人

何にもない、何にもないってよ俺たち
肩を寄せ合って
それで夢ばかり詰め込んで
どんどん広がって、どこまでも広がってさ

まみれた両腕で
濡れ手で粟、そうやって集めたモンが
ひゅうと、そよ風のひと吹きで
ぱちんと、弾けてしまうって

ゲンジツ感に近づいたら
詰め込んできた虚ろな夢たちは
逃げ出しちまうんだぜって、なぁそうなのかよ

ぽつんと置いてけぼりにされて
ただそれだけが震えて、あぁ、震えてるんだよ
何にもないって、なぁおい、俺が、俺がいるのにさ


自由詩 89、泡 【あわ】 Copyright 雨宮 之人 2007-03-11 00:58:29
notebook Home
この文書は以下の文書グループに登録されています。
字書きさんに100のお題