「 お洒落なペン 」 
服部 剛

昨日 美術館で買った 
イタリア製のボールペン 

褐色の木に刻まれた 
( The Paper Pen ) 
なめらかな筆記体の文字 
金色に光る ペン先 と 頭 

「 さぁ、これで何を書こうか 」 

白紙のノートを机に開いて 
紙の上にペンをすべらせると 
インクが出ない 

しゃかしゃか と
ふっても 
机にたたいても 

ペンを滑らす紙の上は 
まっしろけ 

「 なんだこりゃ 
  使いものにならんなぁ 」 

「 400円も、出したのに 」 

ぷるぷる と 
震える指先で 
つまんだペンを投げてようと 
手を振り上げる 

と 

使えぬペンに 
日頃 口先ばかりでぐうたら者の 
自分の姿が重なった

「 しかたないなぁ・・・ 」 

まゆをしかめてポケットに入れると
ペン先が きらり と光った 





自由詩 「 お洒落なペン 」  Copyright 服部 剛 2007-03-10 02:30:50
notebook Home