砂漠と頭蓋
智鶴

とある砂漠に
突き刺した旗の下で
頭上の光点を避けていた

そこら上に転がっている
何かの動物の頭蓋が
何も言わずに私を見つめていた

砂の匂いを孕んだ風に
私は何を載せればいいのだろう
砂漠に染み渡るほど
涙を流してしまったというのに
まだ私から何を奪う?

僅かにも湿気など帯びていない風と
同じく乾燥しきった砂
地平線に投げかけた何時かの願いは
それらに染み込んで
影すら映らない

やがて冷え切った夜が来るだろう
乾いた世界と一緒に私を
闇へと包み隠してしまうだろう

そして夜が明けたとき
地平に立っているのは
願いを受けきれなかった私の頭蓋と
長く影を残す旗だけだ


自由詩 砂漠と頭蓋 Copyright 智鶴 2007-03-07 21:11:44
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