回想
はじめ
僕はいつも喋っている
同級生達が試験勉強している静かな教室で
もう受験諦めたんだ
勉強している前の同級生にしょっちゅう話しかけては
日本史演習用プリントの裏に詩を書いて見せている
同級生はうん、と頷くだけだ
まともな詩の批評なんてできるはずがない
前の同級生がさらにプリントを渡し
「これ一杯に何か書いてみてよ」と注文してくる
あっという間にプリントを真っ黒に埋める
できて渡すと同級生は素っ気ない表情でそれを受け取り
しばらく見入っている
緊張の一瞬だ 唾をゴクリと飲んで相手の感想を待つ
「いい、いいよ」と少しだけ微笑んで再び前を向く
僕はとってもいい気分になる
暖房がフル回転して窓の蒸気を真っ白にさせて教室を暖めている
眠るのにちょうどいい温度だ
自習ということで皆それぞれの進路に合わせて日本史の勉強なら何をやってもいいのだ
最後の列の僕は頭に両手を組んで外を眺めた
電線の上で雀が時々違う電線に飛び移りながら羽を休めてる
誰も雀の声になんて興味を示さないだろう
先生は教卓にノートパソコンを広げながらパチパチと何か打っている
なかなか授業が終わらない
僕は退屈をしていた
まさか四年後にまだ詩を書いているなんて想像もつかなかっただろう
僕はただ時間が過ぎるのを雑文を殴り書きしながら待っている