愛してる。
朽木 裕
白い眼帯が夜色の世界に映える。
ざぁざぁ狂い風。
外は寒いね。
ここも寒いよ。
そうだね。
そうだよ。
どちらからともなく命を込めてキス。
眼帯を嵌めた君とキスするのはなんだか不思議。
私の左半分は見える?くちびるは此処だよ。
「ね、」
「…愛してるよ、」
「ん、」
こんな時ばかりは言葉すら邪魔になる。
けれど何度も噛みそうな舌で伝える。
愛してる。
愛してる。
愛してる。
なんだってするから傍にいてよ。
寒いって云ったら温めて。
淋しいって云ったら飛んできて。
顔をあげたらキスをして。
欲しいって云ったら、頂戴。
「…ど、こにも、いかない、で」
「いかない、から、離さないか、ら」
愛してる。
愛してる。
愛してる。
どうしてこんなに涙が出るの。