あの頃と違うわたし
たのうち


今日、片付けの途中に
すっかりくもったシルバーのバンクルを見つけました。

それは、
かつて共に恋に落ちた男性と
ペアで買ったものです。

あの頃は、
物で心を縛れると思っていました。
二人で同じものをつけることが
「愛し合っている」という証拠になると
本気で信じていました。


わたしは馬鹿でした。


今ではもう、
そんなことはありえない
と確信していますので、
私は落ち付いた気持ちになれました。




すっかりくもったシルバーのバンクルを
クリーナーで磨き上げたとき、
その新品のような輝きにとても安心しました。
物は昔を取り戻せるけど、
私たちはもう、あの頃には戻れない
という全く当然の事実は
私を励ましてくれるのです。

「あなたがいなくても私は頑張っているよ」
と彼に教えてあげたくなりました。


自由詩 あの頃と違うわたし Copyright たのうち 2007-03-06 18:51:01
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