水在らあらあ





木彫りのゴリラを作った
魂をこめたつもりが
こもったのは悲しみだった
真夜中彼はがんがん胸を叩いて吠える
号泣だ
朝、机の上の涙の水溜りに半べそでモップかけてる
あんまりかなしいやつだから
燃やしてやろうと思ったら
それでいいですなんて言うから
向かいの公園に投げた
ムク犬がやってきて
クンクンして
涙を
なめた
ムク犬は飼い主のお爺ちゃんに呼ばれて
行ってしまったが
何かがゴリラのなかで変わったらしい
その日からゴリラは公園の管理人として
かってに働き始めた
しかも公園の小鳥やリスとバンドを組んで
ドラム兼ボーカル
まだビーチボーイズのカバーしかしないが
ギターで参加させてくれって言ったら
ウホ、と、丁寧に断られた
今年の夏のフェスティバルに参加するらしい
ウホ、と、タンポポの押し花をくれた
招待券のつもりらしい
よかったねゴリラ
今度、おまえにあうような恋人を彫るね
喜びだけを
こめて







自由詩Copyright 水在らあらあ 2007-03-06 07:01:14
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