3月の風
はるこ


今日起きて窓を開けたら
3月の風が入ってきました。
まるで包み込むようにふわりと。
3月特有の温かさをもってわたしをそっと包んだ。

もうすぐ この部屋から出て行きます。
4畳半の小さな世界から思い出のある街へ
カプセルの中に入るかのように。
隅にまで想いが転がっていてなんだかくすりと笑っちゃう。

3月の風は暖かだけど、どこかしょっぱい味がする。
その角を曲がるとほら4月が意地悪く顔を覗かせてる。
いつだって隣り合わせ。いつまでもここにいたいけど。

荷造りも一段落したし、歩きに行こうと思います。
「今」を焼き付けておきたいから。
アイラインを引いて、背筋をまっすぐして
お日さまの下、歩いていくのです。
いつか思い出に変わったとき、瞼の裏この世界がいつでも暖かであるように。
暖かであるように。


自由詩 3月の風 Copyright はるこ 2007-03-04 13:28:57
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