廃墟からの手紙
はじめ

 孤島の廃墟の街
 灰色(新聞紙の色)の街
 破裂して今も水が出ている下水管
 ビル群はほとんど全て崩れ落ちている
 コンクリートの塊がいたるところに転がっている
 烏が集団になって地上を歩き回り餌を探している
 この街は大きな地震があったのだ
人々は迫り来る巨大な津波に飲み込まれて大海原へ流されてしまった
 人々は一人としていなくなった
 巨大な地震と津波によって街は壊されてしまったのだ
 雨が多い
 戦争か何かで滅んでしまったのかと思うぐらいだ
 ここに立ち尽くしていると街はまだ熱を持っているようだ
 君を失ってしまった悲しみを僕は何処にぶつけたらいいのだろうか
少しずつ浄化され続ける街
 僕と君は文通し合っていた
 一度も会ったことはなかったが君の写真を見て一目惚れした
 君も僕のことを気に入ってくれたようだ
 僕は一度この街へやって来た
 けど君はいなかった
 手紙に記された住所に君はいなかった
 僕は途方に暮れた
 それでも手紙は届き続けた この島から手紙は届き続けた
 それからすぐだ 大きな地震がやって来たのは
 それから手紙は途絶えた 街が破壊された後に
 上空に烏が旋回している


自由詩 廃墟からの手紙 Copyright はじめ 2007-03-03 17:32:17
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