白昼夢
仲本いすら

流れてしまつた雲を追いかけて
防波堤を越えた、二人だけの流星を掴み
散りばめたあとの笑顔を見ましたら
それはもう、美しいとしかいい様のないほどに
ふたりの時間は流れていつたのでした。

ぎいこぎいこと鳴くペダルを漕いで
悠久の海を渡つてゆきます

アスハルトの熱さに嫌気がさした
ふたり逃げ出したのです
蒼空は笑つているように思えました
ふたりは、笑つています

今までの些細な悪戯を数えながら
ペダルを漕ぐ足は速さを増し

(とまつてしまう事は、優しさの延長であるかのように)

今までの些細な悪戯を数えながら
ペダルを漕ぐ足は速さを増すのです

あなたは、きようの事を話しながら
制服のぼたんを外してゆき

(手を振つているひとが見えます)
(くやんとした顔をハンケチで拭い)
(ふたりに手を振つているのです)

今わたしも第一ぼたんに手をかけ
制服を脱ごうとしています

あなたはそれを笑つて
またペダルを勢いよく漕いでいつたのです

軌跡を儚げに
残しながら。

(とまつてしまう事は、優しさの延長であるかのように)


自由詩 白昼夢 Copyright 仲本いすら 2007-03-02 21:27:42
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