星に
川口 掌

 
見上げる空に
星は無い
町の空は
寂しさを忘れる為に
いつまでも いつまでも
見える範囲を
照らし続ける

照り続ける事が優しさで
見えなくなると
その優しさも届かなくなる
優しさを
いつまでも 感じていたいから
町の明かりに照らされる
照らされる町に
星は無い

星を見たい
町から離れ
温もりの届かぬ所まで
優しさの聞こえない所まで
走り続け
逃げ続ける
抱えているものは
身一つ
温もりも優しさも
消え去れば 確かに
身一つ

風の音を感じる
木々のざわめきを感じる
生き物の気配を感じる
明かりの無い世界では
見上げれば
星が輝く


星の光を浴びて
消え去る全てを感じ
頬がきらきら
頬がきらきら




自由詩 星に Copyright 川口 掌 2007-03-01 19:09:05
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