願いの叶う公園
はじめ

 生物達がみんな死んで
 住宅街はひっそりとしている
道端にコオロギの死骸を見つけた
 足で蹴ってみると体は実が無くスカスカだった
 夜の住宅街
 巨大な公園に沿って家が建てられている
 でも今はどの家もガラガラだ
 誰もいなくなれと願ったせいで誰もいなくなった
 レンガ道を歩く乾いた音だけが建物に反響して空虚に響く
 この道はどこまで続くんだろう

 突き当たりに出会った
 横には公園の入り口が石で仕切られている
 枯れ果てた林の奥から入れと誘惑する雰囲気が漂ってくる
 それに反応して公園の中に入っていく
 林の向こうには巨大な広場があった
 巨大な丘がありそこを避けて葉の抜けた森の奥へと進んでいった
 森を下っていくとそこには小川が流れていた
 橋を渡り落ち葉の絨毯を抜けて砂利道を駆け上った
 そこには不思議な半球体のオブジェのあるすり鉢状の広場があった
 そのオブジェに仰向けに倒れて宇宙色の空を眺めた
 もうすぐ死ぬんだなと思った
 辺りは物音せず静寂に包まれていた
 死にたいと願った
 ゆっくりと気が遠くなる
 静かに死んだ


自由詩 願いの叶う公園 Copyright はじめ 2007-03-01 17:23:45
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