死の森〜ペルソナ〜
なかがわひろか

死の森で息を吸ったら
一瞬で肺がやられて
死んでしまうから
仮面を被って生活しています
笑った仮面、愛想を付かす仮面
泣いた仮面、蔑む仮面
表情を変える度に
仮面を取り替えるのです

ここの空気は
ここの空気は

どんよりしていて
ぬるぬるしていて
粘っこく
悪魔の霧の様です

ここの棲む人たちは
ここの棲む人たちは

何度も仮面を取り替えるうちに
面倒くさくなって
表情を失ってしまいました

私たちは
一度も素顔を晒すことなく
同じ仮面を被って
生きていくことしかできないのです

自由に笑うことも
怒ることも
蔑むことも
できないのです

そんな風に
ただただ生きていくしかないのです

世界の何処かにある

この

死の森で

(「死の森〜ペルソナ〜」)


自由詩 死の森〜ペルソナ〜 Copyright なかがわひろか 2007-03-01 00:47:22
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