いつまでも繰り返している
nm6

陽が当たらないこの部屋には夜が堆積したまま、おはよう。
けして眩しくはないけれど、それは挨拶だ。



腕を下にしていたのでしびれた。下敷きが平たく硬いのは、しびれずに楽に生きていくための防御線なんだってさ。ぼくらは柔らかく人間なので、ときに身震いして、吸い込まれ、ぐらぐらと揺さぶられては、曲線をなぞり涙する。目を閉じているのは、もう少しだけの無為だ。拒否するでもなく受け入れるでもない、例えば隙間から差す光を避ける寝返りの、そのわずかな反応で、最近はどうだい?と世界に問いかけている。そう、答えることよりも、問うことのほうがずっとセクシーだ。


おはよう。おはよう。
目覚めているけれど目を閉じる。
うつ伏した姿勢で世界に問いかける。
おはよう。



ぼくらには知らないことが多い。空腹になれば冷蔵庫を開ける。食べ物は探すけれど、知らないことには反応しないんだってさ。ぼくらは柔らかく人間なので、数えては焦がれて、混ぜこねて、頭に押し込んでは、フラッシュバックから塞ぎこんでいる。目を開けて見上げるのは、これからの無為だ。関心するでもなく無視を決め込むでもない、例えば隣の部屋を包むふわりとした朝の白さが、風邪をひいたかい?とぼくらに問いかけている。


そう、答えることよりも、問うことのほうがずっと。
ぼくらは柔らかく人間なので、曲線をなぞり涙する。




陽が当たらないこの部屋には夜が堆積したまま、おはよう。
けして眩しくはない挨拶を交わし、起き上がらずに問いかける。
おはよう。


自由詩 いつまでも繰り返している Copyright nm6 2004-04-18 09:51:43
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