*錆びないジェラルミンは*
かおる


人生は甘くないと言う事実を
嫌っていう程噛み締めて
後悔の海に溺れていく

人間辞めたくなっちゃったから
鉄腕アトム張りのロボットになろう
超合金とまでいかなくても
シルバーメタリックのジュラルミンで着飾ろう
働き者のオカァちゃんなんか目じゃないもん
だって寝なくてOKだから
おうちが寝静まったら
今日一日の痕跡を
綺麗さっぱり片付けて
プレゼン資料もお茶の子さいさい
なんて言っても10万馬力の底力
昼夜を問わずバリバリ働いて
誰にも文句は言わせない
DINKSなんて気取ってないで
サッカーチームを編成できる程
子供だってバンバン生めちゃうな
ほら、良い事尽くめじゃん

それでも泣きたい夜には
車を海岸まで飛ばして
(あ、ジュット噴射でひとっ飛びか)
降ってくる星空を眺めていたら
いつか錆び始めて
ギシギシ軋んだ音がするのかな

絶対なんて事はあり得ないのが現実で
全て風化していく運命ならば
せめて夢見たりしても罰は当たらないはず
だから


自由詩 *錆びないジェラルミンは* Copyright かおる 2007-02-28 18:55:53
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