炭酸香
黒子 恭

君が
 
ぽつん。
 
と残した香りが
 
僕の表面を覆う理性を
突き抜けて
 
真ん中から少し左を
 
ソーダ水のやうに
刺激してくる。
 
今になって
 
ああ、あれは愛だったのかと
少し解ったふりをして
泣いてみました。
 
参道、大通りにあるカフェテリア、
水曜日の日溜まり、いつも見てた番組、ある朝の太陽
 
それらが
香る度に
 
僕は少し
解ったふりをして
泣いています。
 
ソーダ水を
口に含みます。


自由詩 炭酸香 Copyright 黒子 恭 2007-02-28 09:47:16
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