「ビー玉」 (青年詩片)
ベンジャミン


かた目をつむってご覧なさい

指先に抱えた透明を
明るさに透かして見えるのは
ある日の空や海だったり
はたまた宇宙のように綺麗でしょう

その水結晶の輝きは
確かにあなたの瞳の薄い膜を通して
あなたの記憶にはっきりと残るのです

たとえば思い出というものに
一番から十番までというような
順序をつけることのないように

まるで小さい頃の宝物みたいな
引き出しの中にこっそりとしのばせる
それは何ものにもかえがたいものですから

たった一つのビー玉で
世界の一部をのぞいてしまったような
少しばかりの優越感にひたりながら

もしも美しさを比べるようなことがあっても
その水結晶の輝きは
不思議と真っ先に思い出せるのです


ほら
かた目をつむってご覧なさい
明るさを透かして見える

そこに
あなたが探しているものが在るかもしれない







自由詩 「ビー玉」 (青年詩片) Copyright ベンジャミン 2007-02-28 05:33:22
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