咲いた鳩
北乃ゆき

鳩を
裂いて、裂いて、裂いて。


裂いて、
裂いて、裂いて。

裂かれていく鳩たちが
最後にみたのは自らを裂く私

恨みなさい、
恨みなさい、
そのまなこに映る私を

私の半分の神が問う
「鳩とおまえに違いはあるのか」

私のもう半分の身体は応える
「これが違いだ」

そしてまた
裂いて、裂いて、裂いて。



愛されたいだけなのです
愛されたいだけなのです
愛を乞う故に
鳩を裂くのです




鳩を裂く私は
いつしか
鳩に
劣る生物となり

それでも

裂いて、裂いて、裂いて。


汚れた手を忘れ
鳩の傷みを忘れ
苦しみを忘れ


裂いて、裂いて、裂いて。


裂いて

裂いて

裂いて



愛されたいという欲求を忘れ



それでも

裂いて、裂いて、裂いて。



裂き続けて




狂いの果てに


まっしろな鳩が
咲いておりました






自由詩 咲いた鳩 Copyright 北乃ゆき 2007-02-28 04:03:43
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