散り際に雨
小太郎

葉桜から降ってくる毛虫の事を思うと
五月の桜の木の下
自転車をこぐのは憂鬱

未だ残っている桜の花と
例えば鳴く鳥のために懸命に散る花びらを思えば
晩春の桜の下
土の道を行くのは生きる喜び

欲張りななまけものは
理想ばかりが高くて
現実を懸命に暮らすものを力の限り否定する

夢が叶わなくてもいいというわけではないけれど
とても安定した
スデニスコシ ミエテイルモノノタメニ
毎日を削られるのはいや

蓄えがないように見えても
この先
やりたいようにやれる自信があるのなら
やってみる

自信がなくてもやりたいことがあるのなら
やってみる

今までに感じた一つの感情も失わないで
全ての感情と記憶を保ったまま

他人に否定されても
相手はもうおじさんやおばさん
おじさんやおばさんは僕たちと同じ時代を過ごしたというけれど
同じ時代を過ごしたから
他人のことが分かるとは限らない

「そういうものだよね」 という言葉を発する人間は
何を勘違いして暮らしてきたのだろう
年を重ねた人達は 経験の数だけ
他人の気持ちを理解できるように 本当になっている?

それとも経験による成長と
他人を理解しようとする心は
飽和する?
いつかどこかで


自由詩 散り際に雨 Copyright 小太郎 2004-04-18 00:22:45
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